アンドリューの風水見聞 京都 綾部其の一

                              文:アンドリュー

Kyoto_002 かつて日本の首都として繁栄し、
また幾多の争乱の舞台ともなった古都、京都。
これほどまで古利を多く残し、世界中から人を集めている街は
日本の中でもそう多くないのではないだろうか。
かねてから、日本の権力者にも伝わっていたであろう
「風水」でデザインされている、と良く識者に云われている。
しかし、通り一遍の説明以外、知られる所ではないし、
実際の所、風水を意識して京都を巡った事のある人は
そう多くないのではないだろうか。

さて、今回の旅は京都を形成している龍(山脈)にも注目しつつ、
まずは京都市の北西に位置する「綾部」から
スタートを切る事になった。

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車を飛ばして行くにつれ、次第に都会的な色が薄れてゆき、
私たちは緑の世界に吸い込まれてゆく。
普段、どっぷりと都心の網の目の中で息を潜める生活をしている
私にとって、それは新鮮であり、実際に空気も清々しい。

眼前に広がる綾部の緑には、都会での暮らしのせわしさを
癒す力が確かにあると思う。
見渡す限り山に囲まれた緑の要塞と言っても良いかも知れない。

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ダニエルの心のふるさとである、というこの場所は、
見事な稜線を描く山々の祝福を受けているかのように
風水的にも恵まれているふうに感じる。

注意しなければならないのは、ここで言う「風水」という言葉は
イコール「人の欲望」では無い、という事。
金運財運を謳い、せせこましくゴミゴミした都会で、
「商品」として特化され、消費されてゆくような代物では決して無い。
玄空飛星なども出る幕は無い。

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自然の一部を借りて、その無欠の保護に畏怖と感謝の念を抱く。
「自然からの保護」これがある意味「風水」そのものの
根本的な考えではないかと思わせる。
そしてこれを無上の理想とするならば、まさにその理想郷が
この綾部にある、と言っても過言では無いだろうか。

(文中敬称略)