土地の記憶

 一月の末に台湾の鍾進添老師のもとから日本に帰国し、レイモンド・ロー先生の講座が開催されて、今日までブログを書く暇がなく忙しなく生きているので、皆様にあらぬ誤解を与えたくないので、一本書きますね。

 今回も、鍾進添老師からは大事な心の教え「風水心得」を沢山ご教授頂き、感謝しております。それはぼくの心に刻まれ、生涯消えることの無い志となりました。老師の研究水準はとても精巧で、学ぶことがなければ一生至らない思考に満ちており、老師と会う度に知的好奇心が満たされます。また、兄弟子たちにもお世話になってしまい、とてもありがたいことであります。

 レイモンド・ロー先生からは、来日してもうすぐ発売の『完全定本 易占大全』 への新しいケーススタディを日本の読者のために、10個も新たに追加するため、多く頂きありがとうございました。

P54__  これでエキセントリックな易占(断易)本に仕上がりそうです。(笑)

 色々と出版物の執筆から通信講座のテキスト作成、監訳者としての作業もあり、息つぐ暇がなく潜水している気分です。また、風水鑑定の案件も多く、現場主義なので逐一視察しなければならないので、時間が夢のように消えていきます。幾つかの新しいプロジェクトもあり、多分、ここ5年間で今が一番忙しいです。

 と、愚痴でもこぼしそうな日常を唯一忘れさせてくれるのが、夜の就寝時間。さあ、夜という魔法が唯一もたらしてくれる癒しの時間を満喫するためにベッドに飛び込む。

82a5ls1 昨日もそんなことを考えて、深夜1時を少し回ったところで眠りに落ちた。

 しかし、二時間もしない丑三つ時に突然眼が覚める。いやな脂汗が出ている。夢の中に進入してくるものがある。頭の中がノッキングされた、こちらの意識でシャットダウンして再起動をはかった。
 

Pictop  夢の中で子供たちが玄関を開けて走ってくる。ぼくがいる家に入ってくるのだ。それも五、六人の子供たちの一群が。

 一人の女の子が鼻血を垂らしている。

Kamiplaza_6napkin10000 女の子:「ねぇ、おじちゃん。紙ナプキンをチョウダイ。」

 夢の中で子供がイメージしたファミレスにでも置いてあるよう紙ナプキンを探すが見つからない。

 

1  そうこうしていると、二人の大男が玄関から入ってくる。丁寧にも革靴を脱いでこちらに来ようとしている。子供たちが黄色い声を張り上げて怖がっている。

      子供たち:「おじちゃん、助けて!」

 
  

Img_09_main  そしたら、一人の大男が血まみれになった子供をこちらにドサッと捨てた。緑色のTシャツを着た子供が一本の木の棒に縛られて、血塗れである。

 一瞬、ものすごい怒りがこみ上げ、眼が覚めた。

 眼が覚めて、喉が渇く。時計は午前3時5分。お茶をごくごくと三杯飲む。

 ただの夢と現実リンクした現象を交えた夢の切り分けは簡単だ。この辺りをぼくが間違えたことは無い。

20100211023502  3階のトイレの窓から見える北西方向に8階建てのビルの基礎工事が終わり、鉄筋がそびえ建っている。10メートルも無い距離である。

 そして、その土地はついこの間までは保育園だった。子供たちの無邪気な黄色い声が懐かしい。今は、鉄筋を打ちつける音がこだまするだけだが、この夢に波及してくる「おじちゃん、助けて!」の声が耳から離れない。

 土木工事や建築などで工事を始める前に行う、その土地の神(氏神)を鎮め、土地を利用させてもらうことの許しを得る「地鎮祭」はきちんと行われたのだろうか?

0000005609  時間が変わって、その土地に保育園はもうなく子供はもういない。しかし、子供たちを育み育てて来た土地の記憶を何人たりとも奪うことはできない。それはあたかも、そこで育った子供が大人になっても、その場所の記憶を忘れることが無いように。

 その夢で現れた子供たちが死霊だとか生霊だとか論じることほどナンセンスなことは無い。ただ、その土地の霊が土足でその土地に上がりこんできたような土地神とまともに会話もできないデベロッパーたちに鉄筋を打ち付けられ、血を流し泣いている。

070613_napukin  白いナプキンの紙、土地神の純白さが穢されていることを象徴している。めいっぱい建てられる建造物。地中深く打ち込まれた鉄筋。消えた子供たちの笑顔。人は何かを奪うことで何かを手に入れようとするが、それは果たして正しいことなのだろうか?

PhotoPhoto_2  風水の観点で言わせてもらう。というより、風水は土地神、土地にまつわる霊妙な問題について考慮することを有史以前から怠ったことが無い。だから、儒教の先祖崇拝と風水はわかりあうことができた。本当の風水ならば、土地神の問題は重秘として最も価値在る知恵と技法として残されている。人即ち、霊である。そして、人の霊と土地の霊の顕著な融合が、『地霊人傑』という言葉で現れされている。

 また、このような現象が派生することから、擇日(日選び)もまともに行われていないことがよく分かる。 

20100211023429 土地と和諧することなく、祝福されないで建てられる建造物に如何ほどの意味があろうか。

 また、一つこの世の中に縁起の悪いビルが建ちそう。ここに引越して来て1年半、こんな予期せぬ変化を受けて、施すべき秘儀は「お引越し風水」(笑)。

 というか、この悪しき現象が派生することは事前に予測できていた。だから、再三にわたってブログでも2010年の引越しを取り上げてきた。 

080224_01  再び、土地神と人が笑顔で手を取り合えるユートピアまでの道のりは、決して遠いわけではない。思い立ったら、行けば良いだけである。そこをユートピアにするのが風水師の仕事だから。新しい未来を託された子供たちを守りたい。そのためには、誰かが礎を作らなければダメなんだ

 朝起きると、泊り込んでいたスタッフのイガちゃんが何かにとりつかれたかのように青白い顔でいう。

 イガちゃん:「昨日の夜まともに寝れませんでした。一晩で6回も金縛りにあって、怖くて寝れなかったです。先生は何もありませんでしたか?」

 ダニエル:「・・・・・・おじちゃんと呼ばれた。本当は、お兄さんなんだけれどね。」 

コメント(17)