エドワードの観た京都Ⅲ

                                              文:エドワード

綾部での目的も達成したところで、次の移動先の選定が始まった。もう一泊、この地に滞在したかったが、施設が週一回の閉館日になるので、この地を出なければならないのだ。どのみち、舞鶴方面には行かなければならないこともあり、基本的に舞鶴方面を視野に入れて行動することにした。この時、宿泊先は決まっていない。というか、夜八時の時点で宿泊先未定という状況であった。何度も言うが、これが僕らのスタイル。何が起こるか分からない。素晴らしいやら恐ろしいやら。はははっ..................

とりあえず、車に乗り込んで綾部を出発することにした。舞鶴を視野に入れながらも、目的地もはっきりしていなかったため、思いつきに任せて、綺麗な景色があれば停車して写真撮影、というシンプルな行動スタイルを踏襲しつつ。と、そんな気ままな時間を楽しんで、ある地点で写真撮影していると、進行方向とは逆方向に龍穴のありそうな集落を発見した。「あの辺、龍穴あるんじゃない?」と言うと、行くことが決定。案山をグルッっと回り込むように、集落の人間しか入っていかない一本道に入り込んだ。

道の終点に車を停め、集落の先にある山に入って行くことにした。山から川が流れており、橋を渡って山に入った所で突然何かを感じ取ったのか、ダニエルが一人で急に走り出した。そういえば、香港のパワースポットでも物凄いスピードで山を駆け上がって行ったダニエルを思い出した。彼のレーダーが何か察知すると、いつも急に走り出し、皆を置いていってしまう(笑)。

香港では見事に置いていかれた私であったが、今回のエドワードは一味違う(笑)。気合を入れて、ダニエルの後を追って走って行くことにした。しかし、道はないのだから、歩くのも大変。それでもなんとか付いて行こうと、見えなくなりそうなダニエルを追いながら、獣道を必死に走った。すると突然、明堂にあたると思われる場所が現れた。そこには明らかに周辺とは違った強い「気」が流れ集まっていた。力強く圧倒的なパワーを感じ取ったのだった。「ウワー、なんだかここ凄いな~♪」と独り言を言っていると、前方にダニエルが見えた。ダニエルは明堂の一番奥の地点で、早く先に進みたそうに後続を待っていた。僕が後ろを振り返ると、既に他三人は全く見えない(笑)。

そのまま、ダニエルは気を追って道なき道をドンドン奥へ突き進んで行き、あっという間にピンポイントで龍穴を発見してみせてくれた。本当に「気」の分る人間だから出来る職人技なのだろう。まさに電光石火の光速技。もちろん、羅盤など小道具は一切使っていない。この領域に入ってくると、「風水羅盤なんか持っていても・・・・」、と思うこともある(苦笑)。とりあえず良い仕事を見せてもらった自分の運の良さに感謝である。早速、ポイントの土を少しだけ掘って手を翳してみると、穴から温かい気が放出されていることが明らかだった。この穴に関して言えば、実際に手を翳してみれば気の噴出とはこういうものかと、誰でも感じることが出来るだろう。また、その龍穴の上に立つことで、大地からの素晴らしいエネルギーを受け取ることが出来るようだ。しかしながら、誰でも龍穴を見つけることが出来ない現実があるのは残念なことなのだが。

暫く龍穴で二人で腰を下ろして待っていると、後続の三人の声が聞こえてきた。全員が龍穴に到着し、その場で記念撮影。京都篇でも尋龍点穴を楽しみたかった僕たちとしては、目的のひとつが達成されたことに満足感を覚えたのだった。暫くその場を楽しんでから、集落へ降りて戻って行くと、また同じような巒頭が見えた。「あの辺りにも龍穴ありますよねー?」と誰かが言っていたが、一つ見たことで、皆満足だったようだ。無闇やたらに龍穴を探すのはやめようってね。それにしても、いつの間にか僕ら全員が航空写真や山や川などの形をグルッと観廻すだけで風水を論じるようになって来ていた。凄い進歩。またまた羅盤を捨てたくなって来た(笑)。と冗談はさておき、これが本来の風水の姿じゃないかって思う。まだまだ未熟、浅学非才な僕ですから、これ以上大層な事を言うのは控えますが。

さてさて、舞鶴に行く前に一箇所目指すべき所があったことを思い出した。それは「限界集落」と呼ばれる村。過疎化が進み、若者たちが居なくなってしまった村。もうなくなってしまったのかどうか分らないので、地図に従って進むことにした。少し雨も降ってきそうだが、暗くなる前に行ってしまおうと計画を強行することにした。

結果的に地図の示す細道を2~3Km歩いて行くことになったのだが、村は発見できなかった。更に奥に「限界集落」が在ったかどうかは分らないが、雨も降ってきたし、暗くなってきたので、タイスンが持参していた尋龍尺を使って暫く遊んだ後、引き返すことにした。尋龍尺で何をしていたかは秘密(笑)。

車まで歩いて戻り、舞鶴へ向かうことにした。意外に綾部から舞鶴までは近かったのか、すぐに到着した。とりあえず目印になりそうな東舞鶴駅にて当日宿泊できるホテルを探すことにした。時計の針は、既に夜八時を回っていた。幾つものホテルを調べてみたが、温泉のあるホテルが何処にも見つからなかった。結局、海沿いのビジネスホテルに泊まることにした。どうせ一泊だ。

ところで、この旅には、その土地の特産物、又は地元で採れる美味しい物を食べようというコンセプトがあることを忘れてはならない。なにしろ舞鶴まで来たのだから、目標は海の幸だよね?直ぐに海の幸をお腹いっぱい食べられるお店を探して向かうことにした。タイスンが電話で予約をしておいて、夜九時になる直前に「浜七」というお店に入ることにした。店内に入りブーツを脱ぎ捨てて、畳に座れる喜びを知った。ブーツの紐で縛り上げられていたからなのか、足もクタクタだったようだ。しかし、龍穴に暫く留まって居たせいか不思議と身体に疲れは無かった。身体に疲れが残らないのはパワースポットに留まった事の証明でもある。もう、こんな経験も何度もしているのだが、いまだに何故?って不思議に思うのである。

さて、こうしてホッと一息ついていると、お店の女将さんが僕たちの座敷に値段の無いメニューを持って来てくれた。一瞬、「ここ大丈夫なの?」と皆に言おうかと思ったが、時、既に遅し!ダニエルがお任せでジャンジャン注文していた(笑)。う~ん、こうなったら食べるしかない!と覚悟を決めて、海の幸を存分に味わうことにした。刺身の盛り合わせ、天麩羅の盛り合わせ、いくら丼、ウニ丼、漬物etc……..さすがに何もかもが美味い。アンドリューは美味い刺身と毎日ビールを飲める幸せに耽っていたのか、目がトローンとしていた(笑)。紅一点のノエルも、相当お腹がすいていたのか、海の幸を口いっぱいに頬張って、ガブガブ・ムシャリである。(笑)

満腹になった頃、急に不安が襲ってきた。それは皆が思っていたことだったのだろう。無言な時間が流れていた。しかし奇跡は起こった!会計が一人当たり○○○○円という考えられない安さであった。皆、驚きを隠せなかった。「うそ?安すぎないか?」と疑った瞬間だった。それは内心ビクビクしていた者の安堵感から来る感情の吐露。皆、バクバク食べている割には、内心冷や冷やだったのだ。さすがTPO風水ツアー。

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食事を終えてホテルに戻り、ベッドに寝転がりながら、ふと思った。「いっぱい動いて、いっぱい汗をかいて、いっぱい食べることは、なんと健康的なのか!」と。一生懸命物事に取り組む喜び、また大袈裟かもしれないが、一生懸命に生きることの喜びを知ったように思う。激しく動き回った一日だったが、風水生活を楽しむ僕の仲間たちは、この旅が僕たちの日常を変える旅である事を確信したのだった。都会で不健康な生活を送っている僕らは、日に日に逞しくなっていったと思う。というより、人間らしさを取り戻した・・・と言えるかな?