『羽飾り』

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       『羽飾り』

                     
           

           どこからか抜け落ちた 羽毛が中を舞うように  

           感情だけが整理しきれずに 置き忘れられて

           それが 償いのように ぼくを捕らえてしまう

           でもね あなたも あの人も あの日々も

           君らが思うよりも ぼくは自由だ

           正確には 君たちが ぼくを自由にした

           不自由な自由が翼を広げた

           愛と呼ばれた感情の断片から成り立つ

           連なった綺麗な羽飾り

           きっと 皆で羽ばたけると信じて疑わなかった羽飾り

           いつでも 選択肢が転がり

           風は ぼくらを浮き足立たせた

           けれど 付けた羽飾りが強風に煽られ

           奇しくも もがれた時に知った単なる事実

           そう 「付けた羽飾りでは 空を飛べない」

           いまもね 時々見るんだ あの空を 羽ばたいている 

           ぼくらが見た夢を

           そう それは過去の実現されなかった現実たち

           報われなかった 現実が今の自分に囁く

           静かな内なる声との対話

           無垢であってこそ得られる本当の翼

           それは 孤独と引き換えの自由だったのかも

           つまり ぼくは捧げた自分の生を

           人は何かを失うことで 別の何かを手に入れる

           悲しい生き物

           ぼくは 手に入れたよ 決して折れない翼を

           そう 「付けた羽飾りでは 空を飛べない」

           それは人々に降り注ぐ風と舞う

                                                                     

                                                                        From  “『断罪』詩と心” 山道帰一
                                                                                          

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