我々一行はパン パシフィック オーチャード ホテル に宿泊。ここはロー先生が風水を手がけた物件でもあり、ロー先生はこのグループの顧問を務めていることから、日本のビジネスホテル並みの格安でこの五星ホテルに宿泊できたのはラッキーだった。
朝、8時前にはホテルに着いてチェックインの手続きをしていると、背後にはいつの間にかロー先生が立っていた。
ロー先生「実は仕事でね。昨日にはシンガーポール入って、もう朝に仕事を終えてきたんだ」
とのこと。朝、メチャクチャ早くないっすか!?(笑)
さて、香港、マカオ、シンガポールと、日本とは全く異国のアジアで風水がどのように使われているのか興味が尽きないところである。これまで我々一行は香港、マカオで、数々の大型施設からカジノに到るまで、ロー先生の手がける物件とそのロジックから確かなる成果までを目の当たりにして、驚かされ続けてきた。
香港、マカオでは近代に建てられた建造物やショッピングモールなどの大型商業施設で風水師の名前が出ないところはないくらいに風水師が建造物のデザインから、内部構造までの指示を出していた。風水師の指示によって建てられる建造物、しかも大型の箱とは、日本では想像もできない風水建築であり、ここシンガポールでも事情は全く同じであった。
ビル内を彩るオブジェの配置の仕方、水の配し方や用い方などの背景には風水による縁起観が潜み、その技法は既に共通の価値観を得た風水デザインとして成り立っているのだ。
そして、最早これらの地域はアジア風水圏と呼ぶのに相応しい。建造物を彩る風水として、共通な観念を得た風水建築様式となっていると言っても過言ではない。その奇抜さの背景に潜む、マクロからミクロにまで及ぶ風水のロジックたち。そこには確かな風水による言語があることを香港・マカオでは見てきた。
ここシンガポールでの印象を先に述べさせてもらえば、それは香港・マカオで見続けてきた風水を取り入れた建造物たちと全く同じく、風水師が必ず入って、風水のロジックを空間に展開している姿が見て取れた。
シンガポールでは大型のショッピングモールなどの商業施設の競争が激しいだけに、次々に前作を超えるものを求め続け、やがてより新しく巨大にものへとショッピングモールは斬新さを求め、肥大化の一途をたどっている。
第七運のSuntec Cityから第八運のSands Marina BayやION Orchard housesなど、その新たしさと商業施設としての充実さの追求は続いている。
ここでは風水が積極的に財を求める手段として戦略的に活用されている。
我々のシンガポールでの風水実習は宿泊しているパン・パシフィック オーチャード ホテルから始まった。
例えば、このホテルのバフェスタイルで朝食を食べる一階の食堂にはロー先生の施した風水改善のアイテムが潜んでいます。この写真の中に潜んでいます。気づきますでしょうか?わかった人はコメント欄に書いてくださいな。(笑)
そこで朝飯を食べていた私達も、言われて初めて気づくというほど、その改善は目立たずひっそりとしていた。
第七運に建てられた未山丑向のこのホテルは第八運(2004-2023年)の切り替わりから不調が続き、不調が続けば前任の風水師は解雇されて、新しい風水師が招かれその真価を試される。何人もの風水師が入れ替わり、白羽の矢が立ったのはロー先生だった。ロー先生の施した改善により確かな成果を認めたこのグループはロー先生を顧問に迎えたのである。
ロー先生が大きく改善を指示した点は二点ある。
まず第一に巒頭(らんとう)の悪い影響(煞)の改善である。左衛星写真のように、このホテルの正面に斜めからくる高さのある建造物(砂)が、入口をぐさりと斬りつける壁刀煞(へきとうさつ)になっている。壁刀煞のエネルギーがこのホテルで快適に過ごそうとする人々に対してストレスとなり、当然、客足も遠くなるわけである。
この改善としてロー先生が指示した対策は拙著『風水住宅図鑑』
(P.129)のコラムでも紹介したが、かつて香港提督府に向いた中国銀行タワーの壁刀煞を防いだのに同じ改善である。河図の五が土を意味することから、その象徴的なオブジェとして五本のポールを配して、壁刀煞の火の影響を土で受けとめる五行相生の改善である。
「あっ、本当だ!本当に五本のポールが立っている!」
第二の改善は理気(りき)の使用目的の改善である。1995年の第七運に建てられたこのホテルにおいては、かつて食堂となっていた南西方位が水星⑦が来ており、美味いレストランとして賑わっていた。しかし第八運に移行して以降、衰退した退気となり、実際にもここはかつての繁盛とは打って変わって寂れたという。
そこで、ロー先生の取った玄空飛星による理気改善は斬新であった!この南西エリアを何と!
使わない!
という大胆な改善であった。正確には、この食堂を建物の中心(太極)から45度分割で八方位に区切った東方位の空間に食堂を移し、旺気の水星⑧を活性化(更にさっきの食堂写真に出ているあるアイテムを置いた)。またホテルのフロントもフロント内のスタッフが水星⑧を向くように配列。かつての北西の食堂を会員専用のラウンジに切り替えたのだ。当然、会員の数は限られており、外からの往来が激しくなる活性化するエリアとしての用途を改め、レイアウトを大きく配置転換させて変えた結果は・・・
客室占有率大幅アップで、大繁盛!
となりまして、このホテルの経営悪化を建て直し、めでたくもロー先生はこのパンパシフィックグループの顧問に就任いたしました!
う~ん、どうりでホテルの人達がともて優しかったし、チェックインした時、我々の部屋番号の末尾は全員8か9でなんだか嬉しい配慮付きだった。また、さっきチラッと写っていた食堂でオムレツ焼くおじさんからは、三日目の朝に突然話しかけられて、次のようなことを言われた。
オムレツ焼き職人「君たちはレイモンド・ロー先生の生徒さんたちかね?ロー先生は私達のホテルではヒーローなんだよ。」
実に身近で味わった風水効果が生んだもの、そしてホテルの従業員たちも感謝してしまうロー先生の偉大さに我々は深く感動したのでした。
ダニエル「そうだよなー。もしこのホテルが経営悪化の一途だったら、あのおじさんが真っ先にリストラされていただろうな。オムレツ焼くだけだし。( ̄m ̄) ウププッ」
しかし、私は一言付け加えねばならないだろう。このおじさんの焼くオムレツはとても美味しかったと。(;'o')
日本だったら、この様なホテルの一階部分のレイアウトをまるごと変える大規模なアイディアを実行に移させてもらえるだろうか。考えてみると、まず無理だろう。このような大規模な改善がまかり通るのは香港、マカオ、シンガポールのように風水が人々の暮らしに密着し、受け入れられている土壌がないとまず無理なのだと思う。
ここシンガポールでは、風水師が入っていない商業施設やホテルを探すほうが寧ろ難しいほど、風水師たちが商業施設からにビルの建築に携わっている。
例えば、この噴水を見てほしい。何気ないホテルの前に置かれたオブジェに人々の目には映るかもしれない。
しかし、これは明らかに風水の理気改善なのである。正確には活性化としての水作用を用いている。
飛星図のように、辰山戌向となった入り口(立向方位)に第八運で水星⑧が来ており、水によって理気エネルギーをより活性化しようとしているのである。
また、このホテルを彩り、このホテルに施された風水の特徴は、この入口に顕著だろう。
左の写真を見てほしい。北西向きの建物なのに、入り口は北を向くようにガラスで加工して角度をつけた入り口になっています。
そう、それは第六運(1964-1983年)に建てられたこのホテルでは、第六運の旺気が入り口に来ていなかったため、建物の入口に意識を集め、その意識に振りかかる影響を出すために、意識を北(壬向)に向けさせ、第六運で旺気となる水星⑥のエネルギーを取り入れて大成功したシンガポールのグランドハイアットホテルです。
この風水改善の詳細は『完全定本 風水大全』(P.130)に書かれていますね。
第六運の改善から随分と時が経ちましたから、ちゃんと第八運になってから噴水を配したのは、新しい風水師が入っていることでしょう。
また、次の例も見てみましょう。
これも風水理気の一つ、玄空飛星を言語として用いれば確かなコミュニケーションが成立します。
レイモンド・ロー「ここは中宮に水星⑧が来て入囚になっているからそれをキュア(cure)するための風水になっている。」
と説明してくださいました。他に気づく点はこのホテルは建てられた時から、前小後大(風水住宅図鑑P.217)となっており、財気に良い建造物となっています。
このホテルはシンガポール最高峰のザ・フラトン・シンガポールです。
国土面積が東京都と同じくらいの大きさのシンガポールにはホテルが乱立しており、ホテル超激戦区のシンガポールにおいて常にThe Best of The Bestとなる最高峰の頂上であり続けるために、このフラトンホテルにも大かがりな風水改善は施されているんですね。
ただ、ロー先生曰く、「フラトンホテル、幽霊が出るっていう噂があるからコワイので泊まらない。」
とのことでした。( ̄x ̄)
施設に施されたこれらの風水理気は風水という名前の言語コミュニケーションを形成している。この点が香港、マカオからシンガポールへと続き、満喫できた最高に楽しい風水コミュニケーションだった。 そして、この言語はより高度な文法構造を伴って、風水は加速する。