負傷兵

 今日は、朝一番で、港区の中華人民共和国大使館で、ビザを手に入れるために売春婦のお姉ちゃんたちと一緒に並ぶ。

 え、どうして売春婦とか言うのって?

 だって、見ればわかるんだもの。

 どうしてわかるかって?

 それは、本物の風水師が土地を見れば、良い変わるか、またどういう効果があるか分かるのと同じでしょ。

 人相が見られないということは(人相だけじゃないけど)、風水師ではないということですぞ!

 人が通る隙間もないくらい並べられた人込みを掻き分け、コピー機の前や待ち札を取り行くやら、いったいどんだけ並べば気が済むんだというくらい並んでいたら、2時間が過ぎ、最速で2日間かかるとの事。料金も違う。

 北京の行政府から何度も電話を入れてもらっていたはずだが、この混乱した無法地帯には、届かず。必死に、事情を説明するも、まるでビザが切れた不法滞在の売春婦を扱うかのように、書類を突っ返すのみ。

 さらに、不運なことに、招聘状がなくては、ビジネスのビザがもらえないのだが、招聘状がFAXで、届いたのは、昼の三時過ぎ・・・。観光用でも、何でも良いからビザをもらおうと思ったら、「個人には、発行できません。」とのこと。(。♋ฺ‸♋ฺ。)

 あのぅ・・・このわけのわからない大使館に、わけのわからない招聘状システムに翻弄された挙句、中国大使館は正午の十二時にきっちり閉まってしまった・・・。

 何度も、「中国を変えるための実験だぞ!交通省、科学省、環境省、三部門の代表者から連絡があったろうが!」と、叫んでも、キチガイを見るかのように、目も見ないで、首を振りながら、書類を突っ返すだけ。危ない人でも見るように、隣に並んでいた売春婦のお姉ちゃんにも、冷たい目で見られる。(。♋ฺ‸♋ฺ。)

 先に戦場に出撃したお仲間たちに申し訳なくて、報告の電話をする。

 ダニエル:「申し訳ありません。明日、到着できないかもしれない。」

 この政府公認の中国を変える実験現場を先頭で取りまとめているA氏は、静かに、ぼくを思い遣る様に語る。

 A氏:「どんなことがあろうと、動じませんよ。どんな不利な状態でも、我々は、
     やるべきことをやらなくては。そうでしょ?」

 この一言に、多くの会話が込められており、この一言が何を意味するのかを我々は、深く認識している。それだけに、この一言を聞き、自分の今の状況に、胸が張り裂けそうになる。

 そう、ぼくらは、同じ気持ちを共有している。だから、仲間なんだ。

 戦場では、誰かを待つことは許されない。負傷兵は、置いていかれる。それは、負傷兵をも、一人の戦士、仲間として尊重された行為なのだ。誰かを待つために戦うのではない。何かを期待して戦うのではない。崇高な意味を持った勝利をつかむために戦うのだ。ぼくは、それをよく知っている。

 いつまでも、負傷兵をしているわけには行かない。

 北京科学技術省からの招聘状は、今日、届いた。戦場に行くための赤紙だ。ぼくは、自分が試される舞台から逃げないし、この部隊から逃げも隠れもしない。


 ベトナム戦争で、徴兵を満期終了し、なお生き残った将校たちの大半は、再び、ベトナムの戦場に戻って行ったという。戦場での務めも終え、その地獄から逃れられるというのに。

 そのため、戦死兵士に占める将校の割合はベトナム戦争時にアメリカ陸軍で戦死者30,743名中将校は3,359名(11%)、海兵隊は3,430名中905名(26%)と群を抜いて高かった。

 死ぬ確率のほうが高い、戦場に再び戻る多くの将校たちは、ただ一言だけ言い残し、戦場に再び戻っていったという。

630pxnapalm           「戦場に仲間を置いて行けない。」

 この腐った世界を変えるための戦いは、既に始まっている。自分だけ、戦火に身を投じずに、指を加えて待っていることなど死んでも出来ない。もう、この気持ちは、皆と共にある。後は、この身体が移動するだけだ。

 この実験を皮切りに中国を変えるんだ!そのための舞台だ、実験なんだ!

 そして、悲劇の連鎖を止めるんだ。もう、家族のために、出稼ぎに出て、外貨を稼ぐために、身体を売る必要もないんだ!そう、ぼくはこの大使館で自分の背負っているものの重さをヒシヒシと感じた。「かわいそうな売春婦たち。」。この大使館内の姿は、ぼくの汚れたインナー世界かもしれないと思った。「ホ・オポノポノ」の四つの言葉を想う ( 『ハワイの秘宝』を参照)。

 一つ一つの問題を試練とは見なさず、機会ととらえる。問題とはすなわち、過去の記憶の再生に過ぎず、それらをLOVEの視点に立って見直し、新たに行動する機会を与えてくれるために姿を現したにすぎないという。ゼロ・リミッツのゼロ状態から発する限り、ただ受けとって行動すればよいのである。


51uq7iba3jl__ss500_  I am sorry.
 I love you.
 Please forgive me!
 Thank you!
 
  このハワイ原住民の「ゼロ・リミッツ」は、不思議とぼくの実践してきた仙道や禅と全く共通する。そう、文化圏が違おうと何だろうと、人間は共通なのだ。当然、類似点が多く見られるだろうし、「ゼロ・リミッツ」と呼ばれる状態は、真っ当な瞑想家だったら、保てる意識状態の一つなのだから。

 もう、ぼくの尊敬する仲間たち、斬り込み隊は、戦いを始めている。届け!ぼくは、祈る。明日、裏技を使ってカタをつけるぞ。もう、そのための切り札を用意した。手段は選べない。

                        雨が降り 七夕に云う 今行くよ! 

                  「変えなくてはいけない未来のために。仲間のために。」


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