遊撃隊員

 朝一番に大使館に乗り込み、昨日、まったく取り合ってくれなかったオバハンの窓口へ。案の定、持って行った招聘状が、「定型フォーマットじゃないからダメ!観光用に変えてもダメだからね。」と言われ、負傷兵の援護射撃は不発で終わる。不思議と「こぉんのババァ~」という怒りはなかった。

 しかし、人間備えがあれば、どんな状況になろうと何も恐れる必要がないぞ。こうなることは、はじめから見越していた。昨日と同じく、突っ返された書類を手に取りながら、笑みを浮かべて、そうなることが想定内だったので、ぼくは呟いていた。恍惚な顔で。

 ダニエル:「そうさぁ、ウサギは、三つ隠れ家を持っているんだぁー。」

 人は痛い目にあうほど賢くなる。それは、生き残るための知恵で、五術の歴史上の進歩と同じかもしれない。昨日と同じ痛い目にあうのならば、ただのM男なのだろう。

 本日のお勧めは、三品用意してございます。1品目は、「ビッチの突っ掛けもの」風味で、ぼくの好みではありませんでした。2品目は、シェフ自らの手作りの「鳥と獣の二品もの」(符!?)でございます。これが、ほんとの切り札(笑)。

 見事にそれを3秒で通過させ、明日の朝十時半には、商業用ビザが発行される段階まで漕ぎ着けた。

  ダニエル:「そうさぁ、このスリルたまりませんなぁー。」

 その時、ぼくは、また恍惚の笑みを浮かべていた。「おっと、こんなところで遊んでいる場合ではない」。しかし、習ってきたものを使ってそれがうまく行くときが、最高の至福なんだぁな。

 え、ぼくが、法を破ることが好きな無法者だって(笑)?

 ダニエル:「我不遵從有漏法。(私は世間法に従わないんです。ハイ。)」

 しかし、実験のメインは、本日行なわれる歯がゆさ。

 先発し、中国に乗り込んだ技術部である「斬り込み隊」と、毎日何十本もの電話を交わしながら、今日の実験、中国を変える実験にたどり着けた。交通省、環境省、科学技術省のトップが一同に集まる実験は壮観だろう。ここまでの軌跡が、一つの奇跡と言えよう。見たかった。その奇跡の輝きを。

 「ああ、何故、オイラは、こんな時に日本に・・・。」、虚しいが、心をゼロに還せば、これもまた、提起された過去からの問題となるのだろう。

 斬り込み隊の行軍は、ハードだ。北京での実験を終え、次は、山東省での実験のためにに今夜のうちに飛行機で移動する。

 そして、中国に派兵された斬り込み隊は、9日に山東省の実験に移り、10日に帰国する。

 今回の実験に関する中国サイドの主催者の一人で、某中国の巨大企業の日本窓口代表である趙社長も、10日に斬り込み隊の一員として、皆と一緒に日本に戻ってくると言う。

 趙社長:「気持ちはわかりますが、9日の夜に山東省に着いて、10日に北京から東京に
       戻るのは、無理なので、今回は、飛行機チケットを買わないでください。私は、
       10日に皆さんと共に、日本に戻ります。もう、チケットを買いました。
       変更できません。」

 ああ、ヤマミチ残留孤児決定!。.(✿ฺ。 ✿ฺ)

 負傷兵も、負傷兵としての任務を全うすべく、自分の国内のワークに専念し始め数時間が経った頃、また、趙社長から、電話が。

 趙社長:「大変です。山東省では、今、大雨で、明日も、雨の影響で、実験が不可能です。
       そのため、斬り込み隊の皆さんは、10日に戻りますが、山道さんは、
       すぐに来てください。もう既に、山東省では、行政府の方々と実験の用意が
       セットされているので、私は、山道さんに、9日に来てもらい、10日から山東省で、
       引き続き、実験を続け、14日に一緒に日本に戻りましょう。」

 ダニエル:「今、行きます!」

 大ドンデン返し!負傷兵、完全復活!((W´∀`))

 10日からは、負傷兵改め、斬り込み隊も改め、遊撃隊となって、孤軍奮闘してまいります。

 しかし、山東省といえば、家の先祖皆そこで眠っている。さらに、今年に入って、この某中国巨大企業に、お声を掛けられたのは、山東省で、町四つ分の土地を農地と工場にすると言う計画の書類作成と通訳並びに、相談役から始まって行ったことを考えれば、明らかに山東の大地に呼ばれている気がする。

 ふ~む、ぼくの故郷である山東省で大規模な「動土」が起こり、何故か、山東の血脈ではあるが、日本にいる山道に結びつく。山道は、不思議な点と点の繋がりで、結びついて行き、山東省に舞い戻り、故郷の土を踏むことになる。土を弄った結果、悪魔が飛び出るか、天使が舞い降りるか。

 まだ、故郷に錦を飾るに到っていないが、がんばりますぜ。(。◕ฺˇε ˇ◕ฺ。)

 願うことならば、全てがうまく行き、結果は、風水で言う「地靈人傑」であったという落とし所ならば、ぼくも嬉しい。間違いなく、そうなると信じて、町興し行ってきますぜ。自分で自分を信じてあげることが肝要よ。(❝ฺ_❝ฺ)

 結果、禍転じて福となる。斬り込み隊と共に、6日に北京入りしていたら、大雨の不測の事態に対応できずに、日本での予定と飛行機チケットが固定されている兼ね合いから、山東省の実験をあきらめ、10日に一斬り込み隊員として帰国していたことだろう。斬り込み隊が遣り残した仕事を処理しに行くことになるとは。

 負傷兵⇒遊撃隊隊員、明日、突撃です。しかも、新たな製品サンプルが、本日届き、偶然にもそれを持って行きます。全てが都合よく回るので、必然なのですね。(*´^ิ艸^ิ`)

 ぼくの母なる大地、山東に戻る。やはり、天命は、一つの一族を二つに分けていたんですね。結果、ぼくは、孤児になりましたが、家族の誰も恨んでなどいないですよ。

 ぼくは、ぼくの明日になれるように、一途に生きています。そして、ぼくは見つけたよ。答えを。「世界は何のためにあるのか?」、その答えを。

 全ては、「このカオスに沈静と安らぎを」もたらすために。喜んで、この身を犠牲にしましょう!きっと、これがあの夜に背を向けて生きながらえたぼくの咎なのでしょう。今は、まだ泥の中を這いずり回っていますが、この天命を受け入れているのですから、あとはなるようになるでしょう。

 追伸
 趙光先生のお墓参りもしてまいります。 


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