この度、「完全定本」シリーズの新装改訂版として、
拙著 『地理風水大全』 が再版しました。
7月13日発売です‼
再版、そして改訂版ということで留意したのは本書が『地理風水大全』であるという表題通りに、読者が希求する地理、つまり巒頭によりスポットを当てた加筆を目指しました。
もともと『地理風水大全』が発刊した2009年、この本では紙面がオーバーしていたので掲載しきれなかった実例をまとめて上梓することにしたのが、その後2010年に刊行した 『風水パワースポット紀行』 でした。
これまでの誤った概念である中国と日本の文化、国土、地形、風土、気候など、実に様々な相違だけを挙げ連ねるのではなく、寧ろ風水が国境も種々の違いをも通り越し、自然を見つめる普遍的な視座に基づく「地理の学」であるということをこの二冊で証明できたのではないでしょうか。
清代の風水師である曾懷玉(そうぎょくかい)は『蔣徒傳天玉經補注』の中で、次のように批記しています。
地理之學以巒頭為體理氣為用體用一原。
地理の学(風水)は、巒頭をもって体とし、理気を用とし体用一原である。
巒頭と理気は「体用一原」の思想です。「体用一原」とは、三国時代の魏国の玄学家である王弼(226-249)の提起した精神(本根)を用とし、形(事物)を体とする、精神性の本体は万物統一の本原であるとする思想です。
「体」である巒頭をより強固なものにするために、本書では改定前の「喝形取類」(かっけいしゅるい)では格局60までの掲載にとどまりましたが、本書改訂版では格局192まで全部訳出しました。
龍が水を飲む山水調和の関係を図版であらわした「喝形取類」。
『風水パワースポット紀行』 でも頻繁に引用されており、地形を読み解く上で非常に有用な知識です。
本書では地理風水における「龍・穴・砂・水」の看方、そして「向法」である理気を網羅し系統立てて、これらの項目を一つずつ、理気の違いが流派の違いを生んでいる様に甚だ本書の枠組みの中で、全ての理気を論じ尽くすことは無理であり、それはこれからの作業としたいところです。
理気においては、この書の初版が発刊された2009年、今から7年前に日本で密かに流行っていた「些子水法」を題材にし、当時この技法を台湾で習得するのについた先生から習った技法として共著という体裁でいたが、改訂版では思い切って、本書の趣旨にそぐわない陽宅や擇日などの不要な項目を削り、著者自身の本として改訂しました。
三合派水法に属する「些子水法」自体は台湾においても主流の理気というにはマイナーであり、本書でも解説している「輔星卦水法」、また「乾坤國寶」と呼ばれる水法などの一つの亜流に過ぎず、はじまりは清代の江西臨川龍溪の人、三合派の風水師である紀大奎(きだいけい)(1756-1825年)による『地理水法要訣』から生まれた星の数ほどある風水技法の一つです。
たまたま本書で取り上げた星の数ほどある理気技法の一つであり、中国において明代から発刊され続けた様々な巒頭書の体裁の多くが、理気として「生旺墓水法」(せいおうぼすいほう)を解説しています。この三合派の技法は巒頭と理気を一体化して判断を推し進める上で非常に有意義な技法ですが、紙面の都合からも本書での解説ではなく、また別巻として世に問いたい次第です。
清代以降は蔣大鴻(しょうたいこう)の『地理辨正』(ちりべんせい)をめぐって実に六大派と呼ばれるさまざまな流派をはじめ、一書一派のように風水師たちが「玄空」を標榜し様々な巒頭に対するところの理気を盛り込んだ風水書が流伝しました。
その一例として清代から派生している「玄空大卦」(げんくうだいか)などが顕著に巒頭と理気を一体化する試みを満たしていると思います。
近年日本でも少しずつ広まりつつある「玄空飛星」(げんくうひせい)なども、玄空地理などを用いて、同じく巒頭主体から時代が下り、理気へと変遷していく過程があらわれています。玄空飛星に関しては本書改訂版と同時に校閲に入っている拙著『玄空飛星派風水大全』(仮題)で詳細に説明しつくしているので、年内には発刊されますので、こちらを参照してほしいと思います。
↑ ちょっと、ちら見せでゲラから。
日本では風水文化の研究は立ち遅れ、大衆文化或いは迷信文化としての「占い」というカテゴリーの中でとらえようとしがちですが、風水を環境心理学、都市地理学、経済地理学、建築学、歴史学、天文学、地理学、社会学、文化人類など様々な視点をもった人々が民間、大学などを問わずに研究を推し進め、古代人の残したアジア文化である叡智を有効活用するすべを模索してほしいと切に願っております。
新装改訂版となる本書 『地理風水大全』 が皆様のお役に立てば幸いです。
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