六大課とは何か
この六大課(りくだいか)という中国占星術に対する区分けは、占験に携わる一部の秘伝継承者の間のみで交わされる言葉の約束事です。そして、「六大課」という区分けは正統な占いエリートたちの間でのみ囁かれてきました。
そもそも、秘伝や家伝に基づく考え方は知的所有権の特許と同じで、伝統社会での「真の知恵は多くのものが知るべきではない」という考え方に基づきます。
小生は、別にその様な考え方を額面通りとらえてはいませんが、学んでゆく過程で老師たちと約束したことなので、その約束と信条に基づくことが先賢たちへの礼儀だと心得ています。
三典は、経典の典から転じた意味である。素材を扱い、文化の薫陶が最も高いとされる。
三式は、式盤を作り、加工して使うため、不信感を生み沢山の亜流を生んだ。三式は、原則的に人、地、天と順番通りにしか学べないようになっている。
六大課
三典 |
上典 |
河絡(理数) |
梅花心易、象数易 |
中典 |
星平(會海) |
子平(八字)、七星 |
下典 |
演禽 |
演禽 |
三式 |
天式 |
太乙(神数) |
太乙神数 |
地式 |
(奇門)遁甲 |
奇門遁甲 |
人式 |
六壬(神課) |
六壬神課 |
さらに、ここに五術という考え方が加わる。これらの三典「上典、中典、下典」、三式「天式、地式、人式」、それぞれの段階の中に命、卜、相の三術をそれぞれ含んでいる。
五術は、欧米では五大芸術と評されている。
山(松林) ・・・仙道
医(杏林) ・・・医術
命(竹林) ・・・推命
卜(梅林) ・・・雑卜、選卜、局卜
相(麻林) ・・・印相、名相、人相(面掌)、宅相、墓相
「雑卜」とは、「刻」で占うものであり、十五分単位で見ることができる。変化の速いものを見る。緻密なものは、四分単位で占える。
「選卜」は「日」で占い、一日単位で見ることができる。日取りを見るのに用いられる。
「局卜」は、「月」で占い、一月単位で見る。世界全体、国家レベルを見るのに用いる。
「印相」とは、印鑑の相を見るものである。
「名相」とは、名前の相を見るものである。
「人相(面掌)」とは、面と掌の両方を見るものである。
「宅相」とは、住宅の相を見るものである。
「墓相」とは、墓の相を見るものである。
地相は六大課の宅相と墓相のそれぞれに技術として入っており、宅相と墓相をあわせたものが風水という考え方になる。
これらの風水学派は、六大課に含まれていない。
①「八宅派」 ②「飛星派(玄空派)」 ③「三合派」 ④「三元派」
以下のものは、六大課に含まれる正統風水学派である。
⑤「星相派」・・・星平による宅相、星平による墓相
⑥「奇門派」・・・遁甲宅相、遁甲墓相
これら、六学派が風水の主流流派であるが、六大課の中には、この他にも以下の五種類の風水技術がある。
「河絡を用いたもの」・・・河絡による宅相、河絡による墓相
「子平(八字)を用いたもの」・・・子平による宅相、子平による墓相
「演禽を用いたもの」・・・演禽による宅相、演禽による墓相
「太乙を用いたもの」・・・太乙による宅相、太乙による墓相
「六壬を用いたもの」・・・六壬による宅相、六壬による墓相
上典 |
河絡(理数)・・・梅花心易と象数易 *二つは攻守で組とする |
命 |
河絡推命(象数易と推命) |
卜 |
河絡による雑卜、河絡による選卜、河絡による局卜 |
相 |
河絡による印相、河絡による名相、河絡による人相(面掌)、 河絡による宅相、河絡による墓相 |
中典 |
星平(會海)・・・子平(八字)、七星 |
命 |
星平による推命、子平推命 |
卜 |
星平による雑卜、星平による選卜、星平による局卜 子平による雑卜、子平による選卜、子平による局卜 |
相 |
星平による印相、星平による名相、星平による人相(面掌)、 星平による宅相、星平による墓相 子平による名相、子平による人相(面掌)、 子平による宅相、子平による平墓相 |
下典 |
演禽 |
命 |
演禽による推命 |
卜 |
演禽による雑卜、演禽による選卜、演禽による局卜 |
相 |
演禽による印相、演禽による名相、演禽による人相(面掌)、 演禽による宅相、演禽による墓相 |
天式 |
太乙(神数)・・・太乙神数 |
命 |
太乙推命 |
卜 |
太乙雑卜、太乙選卜、太乙局卜 |
相 |
太乙印相、太乙名相、太乙人相(面掌)、太乙宅相、太乙墓相 |
地式 |
(奇門)遁甲・・・奇門遁甲 |
命 |
遁甲推命 |
卜 |
遁甲雑卜、遁甲選卜、遁甲局卜 |
相 |
遁甲印相、遁甲名相、遁甲人相(面掌)、遁甲宅相、遁甲墓相 |
人式 |
六壬(神課)・・・六壬神課 |
命 |
六壬推命 |
卜 |
六壬雑卜、六壬選卜、六壬局卜 |
相 |
六壬印相、六壬名相、六壬人相(面掌)、六壬宅相、六壬墓相 |
六つの技術類型とその中に内包された命、卜、相による九つの分野により、およそ、六十三種類の学問体系がある。一体系だけでも実用レベルまで習得するのが至難なものが六十三体系あるのである。
では、日本で言われる「四柱推命」、つまり「八字」はどの分類の中にあるかと言うと、
中典 |
星平(會海)・・・子平(八字)、七星 |
命 |
星平による推命、子平推命 |
上記のように、中典の命の部類「子平推命」に該当する。そして、最も精密な推命が星をあわせてみる「星平による推命」である。つまり、「子平推命」より高度なものが「星平推命」である。
演禽は現代でも三合派風水における砂法をはじめ、通書擇日における二十八宿として用いられています。地盤二十四山の出現以前は、古代の方位磁針は360度を28分割した「二十八宿」を用いていました。この区分は1カ月の内で月が地球を回る時の日ごとの月の位置を基本としていましたが、十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)を形成する二十八宿と対応させることによって単純化され、この方位区分は「先天羅経十二支」と呼ばれます。二十八宿とは二十八の星宿の名称であり、古代人は夜には太陽が出ていないため方位を確認できないので、「二十八星宿」の位置によって方位を識別しました。 その後、術数家たちによる研究と縁起を経て、「二十八星宿」の運行にみられる各方位は必ずある種の影響力があるとするようになり、「吉凶禍福の予測」と「擇日催吉避凶」に用いられ、演禽法として使用されています。
「河絡」が一番得意するのは、「卜」の分野である。
「星平」が一番得意するのは、「命」の分野である。
「演禽」は、どれとも相性、使い合わせがよろしくないのである。
「印相」で一番信頼性が高いのは、「星平」にある「宮印」である。
「宅相、慕相」で一番信頼性が高いのは、「星平」である。
「選卜」で一番信頼性が高いのは、河絡、太乙、遁甲である。
「雑卜」で一番信頼性が高いのは、河絡、六壬である。
「局卜」で一番信頼性が高いのは、河絡、太乙である。
「名相、人相」で一番信頼性が高いのは、遁甲である。