文:アンドリュー
かつて日本の首都として繁栄し、
また幾多の争乱の舞台ともなった古都、京都。
これほどまで古利を多く残し、世界中から人を集めている街は
日本の中でもそう多くないのではないだろうか。
かねてから、日本の権力者にも伝わっていたであろう
「風水」でデザインされている、と良く識者に云われている。
しかし、通り一遍の説明以外、知られる所ではないし、
実際の所、風水を意識して京都を巡った事のある人は
そう多くないのではないだろうか。
さて、今回の旅は京都を形成している龍(山脈)にも注目しつつ、
まずは京都市の北西に位置する「綾部」から
スタートを切る事になった。
車を飛ばして行くにつれ、次第に都会的な色が薄れてゆき、
私たちは緑の世界に吸い込まれてゆく。
普段、どっぷりと都心の網の目の中で息を潜める生活をしている
私にとって、それは新鮮であり、実際に空気も清々しい。
眼前に広がる綾部の緑には、都会での暮らしのせわしさを
癒す力が確かにあると思う。
見渡す限り山に囲まれた緑の要塞と言っても良いかも知れない。
ダニエルの心のふるさとである、というこの場所は、
見事な稜線を描く山々の祝福を受けているかのように
風水的にも恵まれているふうに感じる。
注意しなければならないのは、ここで言う「風水」という言葉は
イコール「人の欲望」では無い、という事。
金運財運を謳い、せせこましくゴミゴミした都会で、
「商品」として特化され、消費されてゆくような代物では決して無い。
玄空飛星なども出る幕は無い。
自然の一部を借りて、その無欠の保護に畏怖と感謝の念を抱く。
「自然からの保護」これがある意味「風水」そのものの
根本的な考えではないかと思わせる。
そしてこれを無上の理想とするならば、まさにその理想郷が
この綾部にある、と言っても過言では無いだろうか。
(文中敬称略)
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