最近、毎日、お酒を浴びるように飲み、アル中ならぬ、アルチュール・ランボーの詩の境地を軽く微酔しながら、思いを馳せたりもする。ヽ(`△´)/
風が奴らの禿げた頭蓋骨を吹くと
吊るし台がきしんで いやな音を出す
すると狼たちが森の奥でうなり声を響かせ
地平線は真っ赤な色に染まる
アルチュール・ランボー「吊るされ人の踊り」
高校時代からの友人と2日続けて飲み、何気に、友人の相談に応えて、友人が勤めるお店の深夜営業のため、研究を兼ねて、九段会館のビアガーデンに、「バニーとビアガーデンの日本文化史」を専攻しに行く(笑)。
思わず開放的になり、友人との昔からの約束事。それは、罰ゲーム「ジャンケン・ナンパ」に興じる。粘る友人を振り切り、五回目のジャンケンでケリをつけ、罰ゲームで、ナンパに行く、友人の雄姿をオツマミに夜の野外ビアガーデンを満喫する。心がクスクスと笑い声を上げて、無邪気な若い心が記憶に過ぎる。
その後、すっかり意気投合した夜の飲み仲間と、日本橋で朝まで飲む。
職種も、全然違うけれど、むしろ、双方に不透明なのが、ちょうど良い。
どんな会話も出来る自分が、笑える。禿げた頭蓋骨のような真空管アンプや飄々と音を出すスピーカーの話になり、熱く語る。色々なマメ知識が、あちこちで炸裂し、スピーカーのようなトークショーは、朝まで続く(笑)。
少し倦怠と微酔によった身体を持ち上げて、夜が明けるビルの群れを抜け家路に帰る。赤い地平線の朝陽が清々しい。
表で行動をするということは、有る意味タロットでいう「吊るされ人」なのかもしれない。吊し人・吊られた男・死刑囚・刑死者とも呼ばれるカードで、タロット番号は「12」。
吊られている男は、危機的状況に描かれているにもかかわらず、男の表情は素直にこの状況を受け入れているかのように凛としている。それは、この男自身が望んでこの状況を招き入れたことを暗示している。
つまりこの絵に描かれているのは単純な辱めの為の刑罰ではなく、通過儀礼の儀式なのである。 組んだ足の形はカバラにおいて物質世界を表わす「4」、同じく手は精神世界を表わす「3」になっており、現状は「物質が精神の上に置かれた状態」を表わし、精神が物質を越えたカード番号21(XXI)、「世界」と対比される。
The World「世界」に見られる彼女は、その中央で片足を上げあたかもダンスを踊っているように見える。しかし、その姿からは躍動を感じ取ることは出来ず、永遠(∞)の中で動きの無いダンスを踊りつづける完全なる統合を果たした完璧なる存在が、内的にも、外的にも誕生した瞬間とされる。
この後、彼女は新たなる目的に向けて旅に出るべく、再びもとの場所から再スタートを切るのかもしれない。この「世界」は終わりであると同時に始まりでもあるのだ。結局、全ての事柄には「終わり」というものは存在せず、輪廻転生を繰り返すことで限りなく「終わり」へと近づいて行くことが、重要であると暗示しているとされる。
The Hanged Man「吊られた男」を逆さま(逆位置の構図)に置き換えて眺めてみると、追い詰められた状況にいた男の姿が一転してほんのり笑みを浮かべた表情へと変わる。
その姿は片足で超絶的なバランスをとりながらダンスを踊っているように見える。
このことから、男はやがて通過儀礼の儀式を終え更なる高みへと進むであろうことが暗示されており、この絵の状況が決して避けて通ることの出来ないものであったことを示しているのである。
そう、ぼくは追い詰められた状況に微笑を浮かべ、ダンスを踊る「吊るされた男」のカードが大好きだ。この男自身が望んでこの状況を招き入れ、不敵な笑みを浮かべ踊る。自分で始めた踊りだから、止められないのだ。そして、この踊りが目指すものは!?
「物質が精神の上に置かれた状態(The Hanged Man)」にありながら、この苦しみの通過儀礼を超えて、「精神が物質を越えた状態(The World)」への移行を目指しているのだ。この苦しみは、世界への暗示であり、通過儀礼なのだから。
そう、踊りながら駆けて行く、世界の地平に向けて。そして、決して踊らされているのではない。目指す世界がある限り。
さあ、今だけは、少し踊ろうよ! この狂った世界で!
地平線が真っ赤な色に染まる朝陽に包まれた新しい世界の目覚めのために!
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