もともと、Lさんから、メールで相談が来て、両親を深く想うアツイ心に感銘を受けたダニエルは、鑑定することにし、今に繋がっている。
通常、個人鑑定は一切しない。もし、何かの弾みで心が動き、やる場合はお金を取らない。これが、ぼくの流儀だ。自分の流儀には、決して逆らわないのが、ぼくの生き方だ。
ちなみに、張先生もいくら大金を積まれても、心が動かなければ鑑定をしなかった。きっと、ぼくもそのスタイルに憧れているのだろう。
事前に四柱推命で、Lさんの命式と行運を見て行く過程で、33歳からの2年間に全ての人生における転機と共に、その2年間はまったく収入がなかったことを指摘した。その時は、まだメールだけのやり取りだった。
その後、Lさんより、
L氏:「33歳から34歳にかけて、車の事故による後遺症で、
2年間仕事が出来ませんでした。」
と、返事をもらう。その時は、その人生の転機になっただろう2年間を「なるほど、交通事故か。」と、程度しか考えていなかった。その時の踏み込みの甘さが、仮想しきれない現実を目の前に広げている。もっとも、それは四柱推命でわかる内容の話ではないが。
交霊における儀式には何度も携わり、張明澄先生の授けてくれた東派の修練の過程では、符籙派の適正を受けたため、深く符籙派に係わるようになる。また、台湾では、法言壇(槐軒学派)を習得する過程で科儀に通じ、実に様々なものを見てきたため、ぼくはその位では動じない。符咒術分野に関しては、不遇な幼年期に符を書くことしか、現実に抵抗する術を持たなかった子供の頃の習性から来ているのかもしれない。
ちなみに、「清品茶房 茶通」に置いてある財神と呼ばれる人形は、張明澄先生がくれたもので、地靈や道教の神々を降ろすのに実験的に使っていたものだ。今では、思い出の一品である。
少し息を落ち着かせたLさんは、空白の2年間から起きていたことを少しずつ語り始めた。
韓国でもビジネスを持つ、Lさん一族が、降り注ぐ悪夢を事前に回避できたことが、この地靈がLさんの妄想ではなく、現実に語りかけていることを証明する契機となった。1997年のIMFが、韓国の経済に介入し、現代グループなどに対して財閥解体が行われたが、Lさんが地靈から聞いていた警告により、家族一同を全力の説得により、一時、韓国でのビジネスを大きく撤退させ、L氏一族は、救われたのだ。
2年間の入院中も、空港までフラフラと歩いて行き、地靈の命ずるままに空港にいた人に話しかけ、その人の名前から生い立ち家族背景に到るまで全て言い当て、不思議な人との繋がりを持ち始める。
Lさんは、ハーフチャネリングというより、フルチャネリングで、全ての意識を靈に明け渡してしまう。完全な靈媒体質ということもあるが、この地靈が触媒であるLさんに何をさせたいのかをLさんの口から語ってもらうことは出来なかった。
そのため、ぼくは身体に迸る靈気を浴びながら、目を閉じその土地靈との交霊を始めた。はじめると、すぐに顔面神経症になったかのように、顔の神経がビクビクとものすごい反応を始め、顔が引きつり歪む。そこから先は、映画『デイ・ウオッチ』に出てくる異空間にも似た映像が眼前に広がり始める。小さな山と海、滝に水がほとばしる風景。
それが何を意図するか、ぼくにはわかった。陰宅だ!その土地の地靈が大きな影響をその陰宅に注いでいるのだが、うまく機能していないのだ。
ダニエル:「お亡くなりになった祖父はどのような仕事をされていた方ですか?」
L氏:「地元でも有名な宗教家でした。研究者でもあり、
自分の宗教のために、財産を全部使ってしまうくらい熱烈な人でした。」
ダニエル:「なるほど。その人のお墓ですね。今、どのような状態になっていますか?」
L氏:「現在は、次男であった父と、父の兄の長男が疎遠になり、
父の兄、長男は、山の中腹にある墓への道に鍵をかけ、誰も入れなくしています。
また、徳の高かった祖父と違い、長男は地元でホテル経営をしていますが、
有権者である権力を行使し、地元の人々を虐げていると悪評が高い人です。」
ここに風水の妙技とでも言う奥深さがあります。「地靈人傑」とは、「地靈」と呼ばれる大地に宿るとされる霊的な存在がいるところに優れた人が育ち、その優れた人が、その土地に還元するかのようにその土地を良くするために尽力するという意味です。人間と大地の密接な相関関係がそこにはあるのです。
明らかに、L氏の祖父は、風水の妙技である地靈を扱うという高度な域に達した風水師、もしくは、自身が陰宅に精通し、地靈の大地のエネルギーが入るようにセットしたのです。つまり、龍穴を陰宅に使っているのです。
そして、徳がなくなった長男、墓の管理が行き届かなくなり、一族全員が墓参りにさえいけない状態にされたのですから、もともと、大地に宿るとされる霊的な存在である「地靈」が黙っているはずがありません。一族の中でも、靈媒能力が際立って高い、L氏に白羽の矢が立ったのです。
それは、使命といっても過言ではありません。「故郷を思い、故郷のために尽力せよ!さらば、力を与える。」、なかなか、小説じみた怪奇譚のように、ここまでのストーリーを聞く人もいるでしょう。もちろん、読者に信じろとは言いません。ただ、ぼくはこのような経験を沢山経て、一人の風水師になりました。それは、持ちえる知識、技術だけでは不十分で、経験が、このような最終判断をさせるのです。
そして、ここから先はL氏のプライベートな話になり、書けませんが、この地靈との会話はすごく面白かったです。というのも、ぼくの消された過去がこの地靈の中に記憶としてあるからです。そこで、ぼくはこの案件を最後まで見るから、その答えを頂くことにしました。消された記憶、捜査不能になった先にあった答え。
もともと、この地靈は徳のあるL氏を慕っているのですが、靈現象に恐怖し、地靈の語りかけを意識で強引に閉じ込め、自分を精神病扱いするかのように、地靈からの声を封じてしまうため、困り果てて、ぼくとコンタクトを取り、一族を救うための全ての答えをぼくの口から、L氏に話させたのです。ついでに、ぼくにその陰宅の修整もやらせる予定で。
地靈からの業務提携の依頼。アタイ指名されちゃったのね。ハードワーク。(。´-д-)
いや~地靈、カワイイじゃないですか。恵比寿の地靈とも仲良くしていますが、この地靈、荒々しくてぼく好みですぞ。(。◕ฺˇε ˇ◕ฺ。)
多分、これだけ人間よりのアクションをする地靈ですから、祖父さんとの融合があるのかもしれません。
風水で言う「地靈人傑」の概念を実例を通じて、現代において、わかりやすく説明できたのではないでしょうか。もちろん、この内容を怪奇譚ととってもらっても、結構です。信じる信じないは読者のご判断ですよ。
ただし、プロの風水師、もしくはプロの風水師を目指すのならば、風水の歴史・思想上、伝統的に伝わり続けるこの「地靈人傑」なる概念を無視して、風水を語る事なかれ。
Lさん、ここまでの内容で、問題があったら、カットしたりしますので、よろしくお願いいたします。ある戦士のお見舞金まで頂き、本当にありがとうございました。
貴殿の一族の命運を維持するために、昨日お話したしなくてはいけないことを常に留意してください。動く時は一瞬です。決して周りに気取られてはなりませぬ。
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